1.日 時
・令和3年1月22日(金)
・①17:30~18:00 講義 ※(株)中村両栄舎印刷所 代表取締役会長 中村隆司 氏
18:00~18:10 質疑応答 同 上
②18:10~18:40 講義 ※(株)みかも 代表取締役 金村 盟 氏
18:40~18:50 質疑応答 同 上
2.場 所
池田高校 定時制 読書室
3.テーマ
「社会人として必要なこと」若しくは「人生を豊かにするために大切なこと」
4.参加者
生徒用20名、教諭8名、事務局4名 合計32名
5.実施形態
「徳島県キャリア教育推進協議会が実施する出前授業」の事業
「みよし地域しごと対策協議会が実施する出前授業」の事業
6.内 容
(1)講義:(株)中村両栄舎印刷所 中村代表取締役会長
〇テーマ「人生を豊かにするもの」
〇(自己紹介・会社紹介)
・実家は山口県徳山市。家業は印刷業。養子として池田町に。養子先も印刷業であり、印刷業以外の仕事はしていない。㈱中村両栄舎印刷所では、代々社長が中村新太郎という名を襲名していた。中村会長も先代社長に名前を変えてみないかと言われたが、名字を既に変えたので名前だけは勘弁してほしいと断ったとのエピソードを紹介。
〇(勉強の意義)
・「人生を豊かにするものについて」豊かとは何かを考えてみると、「寝たいだけ寝て、食べたいだけ食べられる状態」になっていれば、70〜80%は豊かということができるのではないか。そういった意味では、健康が非常に大事。若い時はいくらでも寝ることができる。それが健康だということだと思う。健康であることによって、安心して生活することができる。
・また、豊かさとは精神的な豊かさと、経済的な豊かさが考えられる。“山笑う”という季語があるが、春先に、通勤の車中から阿讃山脈の山桜の様子をみて、これが“山笑う”という状況かと、70歳になり初めてわかった。それも精神的な豊かさということになると思う。
・時代背景を見ることは大切。印刷業は構造不況業種。競合が多く、儲からない。先代の社長には、養子に来たときに印刷業には拘らなくても良いと言われた。そのとき、じゃあどうすれば良いかを先代に聞くと、印刷業として捉えるのではなく、印刷は情報を伝える産業、情報産業として捉えることもできると教えてもらった。下駄屋だから、下駄を売っていると考えるのではなく、履物屋として捉える。時代背景を踏まえて広く見ることが肝心。広島や徳山は西東にしか販路を広げられないが、池田町なら東西南北全て広げていける地理的優位性がある。そう捉えることもできる。
・グローバル化という言葉があるが、今日の日経新聞で強く感じる記事があった。それは、バイデン新大統領のスピーチを、日本語と英語、両方の言語で掲載してあったことだ。これがグローバル化だと感じた。J F Kの就任スピーチのエピソードを紹介。
〇(働くという事)
・カゴに乗る人、担ぐ人、そのワラジを作る人、という言葉がある。この意味は、循環しているということだ。「自分だけが」ではいけないのが、世の中。
〇(可変と不変)
・諦めから始まる。思っても変わらないものや、努力しても変わらないもの、例えば女に生まれたかったなどは、諦めてしまうことが大事。諦めてから考える方が、建設的だという考え方もある。
〇(時間軸)
・善悪というものは固定的なものではない。時間軸を長く持ち、子や孫世代のことを考えて動くことが望ましい。
〇(自己評価)
・自己評価を低くした方が、楽に生きることが出来る。そう考えることもできる。
〇(日経新聞)
・必ず、新聞裏面の私の履歴書、交遊渉を先に読み、それから表面に目を通すようにしている。高校生の皆さんにもぜひこれを1年続けてほしい。1年続ければ、右肩上がりの人生観を形成することができると思う。
【質疑応答】
Q1:今までで一番苦労したことはなんですか?
A :苦労したことというのは特に思い当たらないが、勉強しろと言われ たのが苦労したことになるかな。性格的に苦労を感じない性格。
Q2:人材について
A :リーダーとして最も嫌な仕事は、人事評価。どのように評価をしているか、知り合いの経営者に聞いたことがある。まずは自己評価、そして部所長の評価、それを踏まえ最終の評価をする。その際には、自己評価を逆転させたらちょうどいいと言われた。自分は仕事が出来ていると考える人材よりも、出来ていない、つまりまだまだ改善できると自ら考えられる人材の方が良い人材だ、との考え方。
※(矢川教頭先生講評)授業終了後控室にて
・講義へのお礼を言った2人の生徒がしっかりした挨拶が出来ていて、大変良かった。
・教員皆が思ったと思う。実際に企業を経営している方の考え方を聞き、生徒自身すごく刺激を受けているのだと思う。
・学校生活とは異なる一面を見ることができ、非常に有意義な授業となっている。来年以降も継続して是非やっていきたい。
(2)講義:(株)みかも 金村代表取締役
〇テーマ「夢を持つことの大切さ」
〇(自己紹介)
・年齢は48歳。趣味は読書とゴルフ。読書は、歴史小説、伝記、ビジネス書を読む。お話をする前に皆さんにお願いがあります。こちらから質問しますので、答えてくれた人には、拍手を送りましょう。相手も喜ぶし、手先を使うと脳も活性化します。
・「株式会社 みかも」概要説明。ガソリンスタンドと車の販売、車のコーティング、現代風にアレンジした下駄の販売、喫茶店を経営。コンセプトは、わくわくお出掛けできることを応援すること。
・漫画ではワンピースが好きです。ルフィの夢を知っていますか。(生徒から「海賊王」の回答)そうです。皆さん拍手。私の夢は田舎をカラフルにすることです。私たちの会社が存在することで、地域が明るくなる。会社の事業を通して地域を明るくしたい。
・ガラ携からスマホ、Google、AIロボットと開発されて、皆が創造しなくなった。皆さんこのラクダが何を運んでいるか分かりますか?そうソーラーパネルを背負っている。これは、ワクチンを運んでいる。砂漠には電気がないので、ソーラーで発電して冷やしている。
・これは何かわかりますか。そうです飛行船です。これは、Googleが広告用にアフリカで飛ばし、Wi-Fi環境を設けて、10億人以上をネットワークで繋ぐというプロジェクトの様子です。
・勉強することは大切です。物事や四季の移ろいなどの原理、原則を知ることで、考え方も変わってくる。例えば「トルコ」と聞いて皆さんどのようなイメージを持っていますか。エルトゥールル号遭難事件をご存じですか。これは、1890年にトルコの軍艦が台風の為、和歌山沖で座礁、遭難した。そのとき串本町の人が総出で献身的に救助と生存者の介抱にあたり、多くの人命を救った。
・それから、95年後。イランvsイラク戦争の際。「今から48時間後に、イランの上空を飛ぶ飛行機を無差別に攻撃する。」との宣言がイラク側から一方的に出され、200名を超える日本人が取り残された。日本政府は直ぐに対応する手段を持っていなかった。その時、トルコは救援機を出し、日本人全員を助けた。タイムリミット、ギリギリであった。そして日本からの感謝の言葉にトルコ側は「私たちは、エルトゥールル号の借りを返しただけ」と言った。このことは映画にもなった。この話を聞いて皆さんどう思いましたか。トルコのイメージが変わったのではないでしょうか。
・勉強することは、大変です。また、その対価を前払いしなければならない。志望校に入るためにもそうですし、健康で長生きするためにも、摂生するという対価を前払いしなければならない。私は、マラソンをやります。タイムは4時間を切りますが、これも練習という対価を前払いしなければ、良いタイムという報酬は得られない。部活で良い成績を残すのも同じです。
・形あるもの、完成したものは、完成直後から劣化します。私の時計もそうです。そのため徳川家康を祭った日光東照宮には、逆さ柱というもがあり、わざと未完成としている。
・皆さん人生の3つの真実をご存じでしょうか。一つ目は、「人間は必ず死ぬ」。2つ目は「人生は一度しかない」。三つ目は「いつ死ぬか分からない」。というものです。だから今日を精一杯生きたい。
・それと夢を持つ大切さ。どんな夢を持ってどんな山に登るのか。
何に懸けるのか、心に決めて生きるのか。
=映像鑑賞10分間=
(主人公は、高校入学時、憧れの応援団に2週間仮入部したが、新入部員は、一人で先輩は12人も居たのでビビッて辞める。その後、応援団は廃部となった。そのことをずっと引きずっていたが、19歳のとき、一念発起し、アメリカの大学に進み、みじめな思いを散々して苦労の末卒業することができた。自分に正直に生きたことは、自分の心が知っている。みじめなことも思い返せば輝いている。このことを伝えるため、様々な人達に「夢に向かって生きることの大切を説き」応援のエールを送っている。)
【質疑応答】
Q1:多くの事業を手掛けられ、コロナ禍で大変だと思うが、どうされているのか。
A :厳しいけど、諦めないで楽しみながらやっている。
Q2:色んな仕事をやられているが、新たなものをやるとき怖くは無かったのか。
A :私の夢は、田舎をカラフルにすること。そのためにこの会社は何ができるのか。人材を育ててどう回収するか。自分の夢を考えながらやっている。
▼出前授業風景