1.日 時
・令和3年1月27日(水)
・①13:25~14:05 講義 丸浦工業(株)会長 丸浦 世造氏
14:05~14:15 質疑応答 同 上
②14:25~15:05 講義 天真醤油(株)社長 真鍋 和三郎氏
15:05~15:15 質疑応答 同 上
2.場 所
池田高校 三好校 セミナーハウス 大研修室
3.テーマ
「企業として必要なこと」若しくは「高校時代に身に付けておいて欲しいこと」
4.参加者
第2学年 31名、教諭5名、事務局2名 合計38名
5.内 容
(1)講義:丸浦工業(株)丸浦会長
・皆さん、高校2年生ということで青春真っ只中ですね。今日は、私の話すことで、皆さんが気づいていないこと、一つでも2つでも持って帰っていただければ幸いです。
・皆さんに期待することを話す場ですが、企業側も存在価値があるかどうかについてまずお話ししたい。価値ある企業とは皆さんにとってなくてはならない企業、存在して欲しい企業です。ケガをしたとき病院がないと皆さんは困る。怖い人が現れたら警察がないと困る。我が社は、地域の人達が望んでいることに対応することが存在価値に繋がると考えている。我が社は「事業を通じて社会課題を解決し、永続的な成長・発展を目指す」企業です。創業125年のベンチャー企業としてヒトとマチとシゴトをデザインする。この校舎もうちが建てさせて貰った。当社グループ企業は、最上位にまちづくり、次にアッセトマネジメント、インフラ、環境、デジタル等である。
・企業が望む人材とは、「一生懸命挑戦し続ける人材である」、やったことがないのでやれません等やれない理由をいろいろ挙げてやろうとしない人は、欲しない。
・学歴が高い、知識が豊富だ、大手企業に勤めていて、能力が高いと構えている人はあまり期待できない。目の前にあることに一生懸命に挑戦する人に魅力を感じる。皆さん一人ひとりに存在価値がある。磨いて欲しい。一生懸命働いていれば、仕事と遣り甲斐の接点は生まれる。
・日常の足元の些細なことを幸せと思うことが大切である。世界一周旅行することなどが幸せと思うのでは、一生叶わない。特にこのコロナ禍では、当たり前のことが幸せであることを再認識したのではないか。
・商工会議所の仕事の中で、会員の皆さんの意見を吸い上げ、行政に対し陳情、要望することが一番大切であると思っている。そうしたことから、皆さん方も思っていることを学校側に伝えることも大切だと思う。例えば学校でスマホを使えるようにして欲しいだとか。中々認めては貰えないとは思いますが・・。過去に高校生とディスカッションをして、いろいろな斬新なアイディアを聞いたことがあったが良い刺激になった。これから話すことで何か希望、要望があれば教えて欲しい。
・今年の6月に平成12年度休校、25年度に廃校となった「馬場小学校」を活用した研修施設が「雲海が見える山あいの学校」として完成する。36名が泊まれる。非日常が味わえる、秘境の中でバケーションが楽しめる、夜星がきれいに見える。美術作品の制作場所や農業体験学校をやる等の活用方法があれば、皆さんの意見をお聞かせいただきたい。
⇒修学旅行先としてはどうか。ボルタリングができると楽しいのでないか。などの意見が出る。
【質疑応答】
Q1:何かやるとき、失敗することが頭に浮かび一歩を踏み出せない。どうされているのか。
A :100%の仕事ができる人はいない。100%できないとダメだと思わないことも大切。今日は、商工会議所の竹内君も来ている。100%の仕事振りでない竹内はどう思うか。(竹内:一人でできる仕事は多くない。皆で協力すると大きなことができる。)その通り、複数人で仕事をすると色んな意見が出て一人でやると陥りやすい思い込みも防げる。・・たまには良いことも言う。
Q2:尊敬できる企業や経営者は,何方か。また、その理由は何ですか。
A :京セラ、第二電電創業者の稲盛和夫氏。仕事に対する哲学がある。共感できる。仕事は儲けたら良いというものではない。仕事をするということは生きることでもある。
Q3:良い企業とは、どのようなものですか。
A :現代は、デジタル化が進んできている。デジタル、デジタルと言っているが、裏側には必ず人がいる。利益を出している企業が良いのではない。ブランド力のある大きな企業に価値があるとは思わない。良い人材が育っている企業が良い企業だと思う。就職するのであれば、好きな企業、やりたい仕事がある企業が良いと思う。
Q4:高卒者を採用する場合の決め手は、どのようなものですか。
A :丸浦工業での稼ぎ頭は、2名居て一名は現場のアルバイトから社員になった者、もう一人はこの学校の卒業生です。この二人には、常に挑戦する気持ちがあった。学歴や試験の成績は重要でなく、挑戦する気持ちがあるか否かは、大きな要素である。履歴書でも別紙にこんなことを遣りたいんだと追加したものを提示されると採用の可能性は高まると思う。
(2)講義:天真醤油(株)社長 真鍋 和三郎氏
・本社工場は、フレスポの南側に位置する。現在地は戦後に移転してきた。戦前は本町(現在の真鍋屋(MINDE)のところ。)に工場があった。1923年(大正12年)に創業、醤油、加工調味料の製造販売はもちろん、食品メーカーとの調味料の共同開発や調味料に関する困りごとの相談にも応じている。
・企業は30年位の周期で大きな変化の年を迎えるとの説があるが、当社も第二次大戦が終戦を迎えた1945年(昭和20年)にロシアで抑留されていた叔父(父親の兄)が戻ってきて、工場の近代化を図り、1950年(昭和25年)には、京都に支店を開設したのを皮切りに高知や大阪にも営業所を出して県外市場の拡大に乗り出していった。1960年頃からは、一升瓶から1リットルペットの醤油へと変化していき、大手スーパーでは、醤油が日常的に売れることから目玉商品として安売りすることが当たり前になっていった。
・次の山は1974年(昭和49年)、私(現社長)が大学を卒業して入社したころには、さらに価格競争が進み、ひどい時には1リットルペットが100円を切る価格で販売されるような時代に突入した。このままでは生き残れないと考え、1988年から醤油を加工して付加価値を高める取り組みを開始し、だし醤油やフィルム入りのタレの製造に力を入れ、自分も営業先では、温泉卵のツユや卵豆腐のタレを受注するなど、時代の変化に対応しながら、食品メーカー等のお客様の多様な要望に応え続けてきた。現在は三加茂で生産した「ゆず」を使ったポン酢等、地域の特産品を使った商品開発にも取り組んでおり、製造割合は15%が従来のお醤油で、85%が加工調味料となっている。
・1974年からさらに30年が過ぎ、21世紀のものづくりは、どうあるべきか考えたときに、一つは国連の開発計画である「SDGs サスティナブルへの転換」が世の中の大きな切り口になると考えている。(※地球を一つの限りある資源として捉えて、これをきちんと管理していかないと我々は滅んでしまうという前提)
・そしてもう一つは、「デジタル革命 デジタル・AIへの転換」この2つに対応できない企業は生き残れないと考えている。パリ協定では、温室効果ガスの排出量を参加各国でシェアして、世界の平均気温上昇を抑えるという「国際社会のルール」が創設された。それに呼応して各企業もガソリン車からEV(電気自動車)の生産に転換したり、LED化したりするのもそうした流れで、今後の会社の使命は、「社会課題の解決」や「環境の保全」「人々の幸せにつながる活動」を重視する必要がある。特に大手の企業は「サスティナブル」的な視野がないと投資家からソッポを向かれて株価が暴落し、倒産もあり得る。
・グローバルな経済の中で国際社会のルールを無視することはできない。法 律も同様に知らなかったでは通らないものである。
・君たちの中にも4月に18歳となり、選挙権を得られる人があると思う。権利が与えられるということは、同時に責任や義務も生じるということを認識しなければならない。
・社会人として守るべきルールを知っていると自分が何か動こうとする時に 回り道をしないで進める。会社に入ると社内にもルールが存在し、それを勉強して早く習得することが肝心である。入社1年目だからと言って、大 きな失敗は許されない。一つの失敗で競合他社に仕事を奪われる結果となる。
・ここで皆さんにお伝えしたいのは、仕事や社内のルールを早く覚えて、チームの一員となるための「魔法の言葉」。「ここはどうするのですか?」「何のためにそうするのですか?」など、何事にも好奇心を持って、先輩などに質問すること。先輩も後輩に頼られるのは、嬉しいもの。
・さらにチーム一人一人の心を開く強力な武器は、「おはようございます。」と「ありがとうございます。」の言葉。自分からコミュニケーションをとって先輩がまた教えたくなるような関係性を築くことが大切。
・この魔法の言葉を毎日言い続けると 相手の心が開く→仕事を教えてくれるようになる →自分の仕事のレベルが上がる →相手からの評価が上がる→報酬やモチベーションも上がる →楽しい人生になる。
▼出前授業風景